ジム・ロジャーズ氏に聞く 『世界経済回復のけん引役はアジアと資源/金、原油は今後10年は上がる』 モーニングスター(091105)

ジム・ロジャーズ氏のWEBインタビュー情報です。ロジャーズ氏へのインタビュー・ラッシュですね。インタビューの上・下をすべて連続して、全文を引用いたします。



ジム・ロジャーズ氏に聞く(上)―『世界経済回復のけん引役はアジアと資源
ジム・ロジャーズ氏に聞く(下)―『金、原油は今後10年は上がる

 モーニングスターでは、世界的に著名な米投資家ジム・ロジャーズ氏に単独インタビューを行った。ロジャーズ氏は、ラーニングエッジ社が主催する「Wealth Management Forum 2010」セミナーでの講演のために来日中。インタビューの中で、ロジャーズ氏は、アジアと資源が今後の世界経済回復のけん引役になると予想すると同時に、金、原油に対して強気な見通しを示した。

 ――現在の世界経済の状況をどうみているか?
 「昨年が余りにも悪かったこともあるが、良くはなっている。ただ、今後1−2年は悪くなることもあるだろう」

 ――いわゆる「リーマン・ショック」からどの程度立ち直っているとみているか?
 「政府が大量に資金を使うことで一時的には良くなっているが、私からみれば、傷に絆創膏(ばんそうこう)を貼るようなもので、問題の先送りだ。長期的にみて本当の回復はないとみている。将来的には、通貨の問題、不況の問題などが出てくるだろう。ただ、経済の全体的な回復は難しいが、水処理、農業、コモディティ(商品)は良くなるとみている」

 ――経済が回復する中でけん引役となる国、もしくはテーマは?
 「一般的には資源国だ。ベルギーよりはブラジルが、イタリアよりはオーストラリアが、アメリカよりはカナダの方が状況が良い。また、日本、中国も欧米よりは良い。総合的に言えば、アジア諸国の方が西欧よりも良い。良いと思うところは、中国、韓国、香港、シンガポールなどアジアだ。テーマに関しては、よく分からない部分もあるが、あえて言えば、アジアと資源だ。また通貨もある。通貨は今後10−20年で大きく状況が変わるだろう」

 ――農業、水処理の話が出たが、いわゆる「グリーンニューディール」や環境問題は経済回復のテーマとなるか?
 「世界的に政府がグリーンニューディールをサポートしているので、明るい。ソーラーパワー(太陽光発電)も、個人的には経済的だとは思わないが、政府がサポートする方向にあるので、明るいだろう」

 ――ドルは今後も基軸通貨として成り立つとみているか?
 「そうは思わない。ステータスが落ちている。状況が悪い。歴史的にみても、現在のアメリカの状況は悲惨であり、今後もっと悪くなる。アメリカ政府は今後もドルの印刷を続けるだろうが、すでにドルの使用を拒む人も出ている。ドルは今のステータスを維持できないと思う」

 ――ドルに変わる基軸通貨はユーロか元か、それともドル、ユーロ、元の3つが中心となるか?
 「もし、あすにドルが崩壊するならばユーロしかない。しかし、20年先なら元だ。ユーロ以外で強くなるとすればアジアだろう」

 ――円が基軸通貨になる可能性はあるか?
 「円ということでなく、アジアの通貨というパッケージだ。円、ウォン、元を一緒にしてユーロのような通貨をアジアで作ることだ。ただ、地域共通の通貨を作るには時間がかかる」

 ――日本経済の現状をどうみているか? また、政権交代が起こったが鳩山政権をどうみているか?
 「今回政権が変わったが、どこの国でも政権交代には良いことも悪いこともある。日本でも起こるだろう。セクターとしては、政府に友好的であれば良くなるが、そうでなければ悪くなる。現政権は日本を良くするといっているが、どうなるのかは私には分からない。例えば、出生率が上がれば日本にとっては良いことだが、破産してまでとなっては良くはない。無駄な公共工事をやらないというのは良いことだ。ただ、実行に際して悪いことは起こり得る」

 ――今の日本は投資対象となり得るか?
 「通貨に関しては弱いとは思っていない。保有するとすればドルよりも円だ。政権が変わったときに注意しなければならないのは、政権がどの業種・業態をサポートするかだ。現政権は子育て支援を掲げている。本当なら子育て関連株の株価が上がるだろう。私も持っている。日本株に関しては、この8−10カ月間上昇していたので、現在は買いではない。もし買わなければならないなら、アメリカ株よりも日本株だが、やはり買わない。ただ、良くなると思う株は持っている。例えばタカラトミー <7867> 。ハローキティも良い」

 ――中国株は?
 「中国株は昨年秋に下落したところを買ったので、現在は買いではない」

 ――どうなれば日本に投資できるようになるのか?
 「崩壊寸前の借金から抜け出すことだ。そうなれば見通しは明るくなる。あとは、輸入制限の見直しが必要だ。アメリカでは300円のメロンが日本では3000円もする。輸入制限で特定の業種が保護されており、国民はあるべき価格で物が買えない。門戸を開放すれば、ほかのところに使えるお金が増え、経済も良くなるという循環になる。価格が下がれば、被害を被る人もいるが、相対的にみて日本国民にとっては良いことだ」

 ――金、原油の見通しは?
 「今後10年は上がるとみている。特に、原油は供給が少なくなるという懸念がある。また、通貨への不安から金などにシフトしていくだろう。銀、プラチナ、綿は上がっていくだろう。加えて、金も買いだ。現在、金、原油を持っているなら売るべきではない」

(完)

(出典)モーニングスター

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ジム・ロジャーズ氏インタビュー『ジム・ロジャーズが語るドル安と通貨危機』FT誌(091103)

ジム・ロジャーズ氏のWEBインタビュー情報です。少し長くなりますが、全文、引用いたします。



ジム・ロジャーズ氏インタビュー『ジム・ロジャーズが語るドル安と通貨危機

(2009年11月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

名投資家で、執筆業にも勤しむジム・ロジャーズ氏が、本紙(英フィナンシャル・タイムズ)の東京特派員リンゼイ・ウィップの取材に応じ、米ドルに対する懐疑的な見方や通貨危機が起きる恐れについて語った。以下はビデオインタビューに編集を加えた概要。

FT かなり前から、ドルに対してネガティブだとおっしゃっていますね。今も懐疑的な見方は変わりませんか。

ロジャーズ ええ、変わりません。今、ありとあらゆる人がドルに懐疑的になっています。ドルは欠陥のある通貨です。今や何年ぶりかの安値水準にあります。

 ただ、悲観的な人がこれだけ大勢いますから、ドルが高騰する局面があっても驚きません。悲観派が大勢いる時――私を含めて――は、大抵、相場は反発するものですから。

<悲観一色、ドルが反発すれば「売り」>

 なので、仮にドルの上昇局面があったとしても、それが長続きするとは考えられない。長くても、1年か2年程度でしょう。私としては、その上昇局面で売り抜けるだけ賢明でありたいと思っています。

 一方で、ドルの上昇局面がなく、このままドル安が進むようなことがあれば、私は恐らくほかの人たちと一緒になって、パニックしてドルを売るんでしょうね。いずれにせよ、今後10年から20年について言えば、ドルには悲観的です。

FT ドルが準備通貨であることに対しても懐疑的だ、ということですね?

ロジャーズ ええ、そうです。多くの人が今、言っていますよ、「一体どうしたらいいのか」と。中国は特別引出権(SDR)を提唱しました。ほかの人々も様々な提案をしています。それが仮に「我々はどうすればいいんだ」と言うだけであったとしても。

 米国と敵対する国は、ドル以外の通貨を使い始めています。ベネズエラはユーロを使い始めているし、イランは日本円を使っている。米国の友好国も心配し始めています。

 そう、だから必ず何か手は打たれるでしょう。市場がそれを強要するか、人々が迫り来る問題を認識してそれを解決するか、どちらかです。後者については、疑わしいと思っています。世界がそれほど賢明であることは、めったにない。特に官僚はそうです。ですから恐らく今後数年内に、市場が我々全員に解決策を強いることになるでしょうね。

FT それは、どんな解決策になると?

ロジャーズ もし米国が今日海に沈んだとしたら、それ(解決策)はユーロなんでしょう。というのは、代わりとなる通貨がユーロ以外にないからです。今から20年後であれば、人民元かもしれません。

 現時点では馬鹿げた考えですよ。人民元は小さな通貨で、兌換性もありませんから。しかし、今後20年内にこの問題を解決し得るような、大規模な経済と人口、そして十分な外貨準備を持った国の通貨は、人民元しか考えられません。

 今から20年後までの間には、人はしばらくの間ユーロを試すかもしれない。いざとなれば、すてばちになってやるしかないでしょうね。あるいは、通貨バスケットやSDRを試すこともできる。ただ、長続きするとは思えません。コモディティー(商品)のバスケットをベースとした別の通貨を試すこともできるかもしれませんが。

<1〜2年以内に再び通貨危機が起きる>

 これだけ多くの不均衡が存在しているので、私は今後1〜2年内に、通貨危機、あるいは半ば危機のような「セミ危機」が起きると思っています。極端な話に聞こえるかもしれませんが、常にそれが繰り返されてきたんですよ。多くの問題が重なった時は、必ず、為替市場で問題が生じた。

FT 通貨危機とおっしゃる場合、もう少し詳しく言うと、どんなことが起きるんでしょうか。

ロジャーズ あなたがアイスランド人だったら、通貨危機がどんなものか分かっているでしょう。2〜3年前に自国の通貨が崩壊し、すべてを失ったか、資産の大部分を失ったわけですから。

 何が起きるかと言うと、ある特定の通貨がほぼ完全にその価値を失うんです。人々はもう、その通貨を受け入れなくなる。人々は破産していきます。

 次の危機は恐らく・・・どこで起きても不思議じゃない。ウクライナなのか、アルゼンチンなのか、私には分かりません。もしかしたら今回は、英国で起きるのかもしれないし、米国かもしれない。

 通常は、我々が普段考えもしないような小さな国があって、そこで何か問題が起き、どんどん雪だるま式に問題が膨らみ、ふと気づけば誰もが「一体どうしてこんなことが起きたのか」と口を揃えて叫ぶことになる。それが再び起きるでしょう。それも、さほど遠くない将来に。

FT 金についてはどう見ていますか。

<金は数年内に2倍になる>

ロジャーズ 金は持っていますよ。売ってはいません。金相場が下がれば、恐らく買い増すでしょうね。もし米国がイランを侵攻して、金相場が上昇すれば、その他の世界情勢次第でもっと買います。

 いや、でも金はもっともっと上昇しますよ。今後数年で、今の水準から少なくとも2倍にはなるでしょう。そうならないわけがない。

FT あなたは英ポンドにもネガティブですね。政権が代われば、懐疑的な見方が和らぎますか。

ロジャーズ 私はポンドは一切持っていません。今も、英国経済と英国の貿易収支の状態については心配しています。政権交代が役に立つとは思えません。

(完)

この動画インタビューは、FT.com / View from the Marketsで視聴できます。

関連記事は、英文ですが、次のものです。
・Currency crisis on the way, says Rogers

ジム・ロジャーズ「娘に贈る13の言葉」

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