ジム・ロジャーズ氏大和投資信託最新インタビュー(20091222)

大和証券投資信託委託株式会社が、12月3日、シンガポール在住のジム・ロジャーズ氏に最新のインタビューを行いました。大和投資信託の最新ファンド・レターとして発表されています。全文を引用いたします。

<コモディティ市場について>
1、コモディティ市場の2010年の見通しをお教え下さい。
Jim Rogers「世界経済が回復すると、供給が不足しているコモディティは値上がりするでしょう。世界の経済が回復しないとしても、世界中で大量の貨幣が供給されているためコモディティの価格は上昇すると思います。そして景気が悪化すれば、更に多くの貨幣が供給されます。したがって、コモディティが最も優れた投資先であると考えます。2010年にコモディティ市場がどうなるか、私にはわかりません。もし誰も想像しないような事態が起きれば、しばらくの間、全てのものが値下りするでしょう。私は、何が起きるにしても、コモディティが最良の投資先であると信じて疑いません。」

2、コモディティ市場に大きな影響を与えると危惧されているイベントを2010年に想定されていらっしゃいますか?
J「私は2010年か2011年に、小規模の通貨危機が起きるのではないかと考えています。世界に終末をもたらすような深刻な危機ではありませんが、市場に大きな混乱や不安をもたらす危機です。私を除いて、そのような危機を予測している人は殆どいないでしょう。」

<金および産業金属について>
3、ドル安や中央銀行による購入を背景として、金価格が1,100ドル/オンスを超えていますが、ロジャーズ氏の今後の金価格の見通しをお教え下さい。また、2,000ドル越えもあり得るとの考えに変更はありませんか。
J「私はこの強気相場の中で、金の価格が1オンス当たり2,000ドルを超えると予測しています。強気相場は今後も10年以上続くでしょう。」

4、新興国でのインフラ整備拡大等を背景に、産業金属の更なる需要増が予想されますが、産業金属セクターの注目品目をお聞かせ下さい。
J「私は産業用金属セクターの中で、どの品目が注目に値するのかわかりません。通常、お金を儲ける最良の方法は、最も値下がりしているものを見つけることです。私は、最近価格の動きをあまり詳細に見ていないので、現在、どの品目が一番値下がりしているのかはっきりしません。しかしそれがどれであるにしろ、最も値下がりしているコモディティが一番儲かるでしょうし、さらに値下がりしたとしても損失はさほど大きくないと思います。」

<その他コモディティに関して>
5、中国の大連商品取引所のシニア・アドバイザーに就任されたそうですが、就任を決めた一番の理由は何だったのでしょうか?
J「私は大連商品取引所のシニア・アドバイザーに就任しましたが、シニア・アドバイザーとして実際どんな仕事をすべきなのかはっきりしていません。なぜなら大連取引所は今まで外国人をアドバイザーに採用したことがないからです。しかし、何らかの形でお役に立つことができればと思っています。皆さんも良くご存知のように、私はコモディティに大変関心を持っていますし、大連は大好きな街です。これまで大連には4、5回訪問しています。また、大連商品取引所では少なくとも2回講演を行っています。そこで、是非ともアドバイザーに就任して頂けないかと要請され承諾したというのが経緯です。外国人にとって中国で一番重要な問題は通貨の規制です。外国人は人民元を自由に売買することができません。私は中国人ではありませんので、中国でコモディティを売買することは違法です。これが中国の取引所における大きな問題点です。」

6、大連を初め中国の取引所は、通貨の問題もあり現状海外投資家へ閉鎖的ですが、一度開放されれば、世界のコモディティ取引の中心になる可能性は大きいとの見方があります。海外投資家への開放について、ロジャーズ氏のご意見および今後の可能性・戦略をお聞かせ下さい。
J「外国人が中国の商品取引所で投資できるとしても、人民元は依然として封鎖されたままです。国外に資金を持ち出せないのであれば、取引所で取引するためだけの目的で中国に資金を持ち込む人はあまりいないでしょう。もし中国が外国人にコモディティ市場と為替市場を開放すれば、中国はアジアで最大、いや世界でも最大の商品取引所になると思います。」

<世界経済について>
7、2010年の世界経済の方向性についてお聞かせ下さい。
J「2010年前半の世界経済は2008年よりも良好になると思います。今年よりももっと良くなっているかもしれません。しかし2011年、2012年は心配です。何故かと言うと、現在世界中の政府が膨大な額の財政政策を実施しているからです。2008年は全てが落ち込んでしまいましたが、2010年は幾分か改善されるでしょう。我々は2000年あるいは2001年に始まった経済問題の中におり、問題は未だ解決されていないと思います。この先しばらく良い状況が続くでしょうが、2007年のような良好な状態には戻らないでしょう。現状においては、世界経済は改善の方向に進んでいると思います。」

8、政府の先行き不透明感や円高により日本株の不振が続いており、現状日本株に投資する魅力が見出せない状況にあります。ロジャーズ氏から見て、日本株全体の回復に必要な条件は何でしょうか?
J「私は引き続き日本株を保有し、日本円を持っています。日本円は来年他の通貨に対して値上がりすると思います。日本政府がするべきことは、無駄なプロジェクトのための浪費を止めることです。政府は支出を抑えると言っていますが、本当に実行するか私にはわかりませんし、浪費は止まっていません。新しい政府が日本を復活させるためには、より多くのお金が必要です。日本銀行は、はっきり言って、ゼロ金利によって預金者に大打撃を与えています。日本政府や日本銀行にとって最良の方策は、投資家に対して海外に投資した資金を日本に戻すよう働きかけることです。それにはしばらく金利の上昇が必要でしょうが問題ありません。ゼロ金利自体が歪みなのです。日本の金利が上昇すれば皆が驚くでしょう。しかし、それこそが私が日本政府や日本銀行に期待することなのです。」

9、新興国株式市場はバブル状態に成りつつあるとの意見もありますが、ロジャーズ氏からみて、現在バブル状態にあるもしくは成りつつあると思われる市場はありますか?
J「エマージング市場ではバブルは発生していないと思います。世界でバブルが発生しつつあると言えるのは、米国の長期国債市場です。米国政府に対して30年もの間3%〜6%の金利でお金を貸すことは、私には理解できません。かといって現在米国債を空売りしているわけではありません。どこまで価格が上昇するかわからないからです。日本国債と同じくらい値上がりするかもしれません。割高になっている市場は世界にいくつかあるでしょうが、割高はバブルではありません。市場は1年の間で割高になる時期があるものです。世界中の株式市場を振り返ってみれば、ある年には高値と安値が40%−50%の離れている株が必ずあります。価格が行き過ぎてもそれはバブルではありません。米国の銀行株の中には、安値から3倍になったものもあります。割高かもしれませんがバブルではないと確信しています。」

pdf.pngジム・ロジャーズ氏インタビュー
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ジム・ロジャーズ最新インタビュー『世界的な通貨危機不安が募る今、次の本命はコモディティ市場だ』(091112)

ジム・ロジャーズ氏のWEBインタビュー情報です。ダイヤモンド・オンラインにて、ロジャーズ氏への最新インタビューが掲載されています。11月7日まで来日していたジム・ロジャーズ氏に、投資系雑誌社は取材ラッシュなのでしょう。長文ですが、全文、引用いたします。



伝説の投資家ジム・ロジャーズが語る!
『世界的な通貨危機不安が募る今、次の本命はコモディティ市場だ』


――世界危機の足音が遠のきつつある一方で、さらなる景気後退観測も根強く囁かれている。金融市場の先行きは依然不透明だ。そんななか、世界的に有名な投資家の一人として常に名前が挙がるロジャーズ氏が、最も注目している市場はどこか?

 今後世界経済をリードして行くのは、間違いなくアジアだろう。私は1999年〜2001年の3年間に、世界116ヵ国を旅行して、各国の現状をこの目で観察してきた。

 その中で、アジアのパワーには他を圧倒するものがあった。特に日本、中国、台湾、韓国など、アジアには信用力の高い国が多い。

 欧米人の多くは気づいていないが、世界中のカネやモノは、今やアジアを目がけて集まっている。裏を返せば、米国のように、借金まみれの国からカネが逃げ出すのは当たり前とも言える。必然的に、投資家も欧米からアジアに軸足を移している。

 私は投資家として、特に中国に興味を持っている。最近市場が過熱してきた新興国株は全て売ってしまったが、中国株だけは変わらず持ち続けている。好んで買っているのは、「水処理関連」銘柄だ。しばらくは、他の新興国株を買う予定はない。

――何故それほど中国に注目しているのか?

 実際のところ、中国ほど資本主義国としてのパワーを持っている国は他にない。

 そもそも戦後に共産化されるまで、中国経済はずっと資本主義をベースとしていた。現在の経済成長は、ここ十数年来の市場開放政策により、彼らが持つ本来のパワーが発揮されたことによる。

 何より、中国人はとても勤勉だ。国民は、収入の3割程度を貯蓄や投資に回している。貯蓄率がわずか数%に過ぎない米国と比べれば、その差は歴然としている。

 過去100年間で最も成功した国が米国、過去50年間で最も成功した国が日本だとすれば、今後50年〜100年間で最も成功する国は、中国と言える。

 そのため私は 2007年にニューヨークの家を売り払って、家族共々シンガポールへ移り住んだ。家族の銀行口座もアジアに移した。娘2人にとって、アジアで育って北京語を学ぶことが、「最良の教育」だと思ったからだ。

――基軸通貨であるドルの信頼が揺らぐなか、成長著しい中国の人民元が、「ドルの立場を脅かす存在になるのでは」と見る向きも多い。ロジャーズ氏自身も、以前から人民元の将来性を指摘してきた。

 確かに、基軸通貨としてのドルの信用は揺らいでいる。しかしだからと言って、人民元がすぐにドルの立場を脅かす存在になるとは考えにくい。ましてや、将来ドルに代わって基軸通貨になることなど、少なくとも現時点では想像できない。

 人民元は、先進国通貨のように自由に交換できないし、今後世界に開かれたとしても、限定された範囲に留まる可能性が高いからだ。人民元の将来性を語るには、20〜30年先を読む必要がある。

 もし現段階で、「ドルに代わって基軸通貨になり得るものは」と聞かれれば、言うまでもなくユーロだろう。

――同じアジアでも、日本株や日本円には注目していないのか?

 もちろん、日本株や日本円にも注目している。実は、私は米ドルや米国株よりも日本円や日本株を多く保有している。

 日本は米国と同様に巨額の財政赤字を抱えているが、先の金融危機で信用が失墜した米国と違い、世界的な信用を保ち続けている。投資先としては、十分魅力がある。

 ただし、大きな不安もある。出生率が先進国で最低水準にあり、人口減少が止まらないことだ。これは、ゆくゆく日本の経済力を低下させることにつながりかねない。今の日本には、チェンジ(変化)が必要だ。
 
 私が日本に求めるチェンジは、(1)子供を増やすこと、(2)移民を受け入れること、(3)そのどちらもできないのであれば、国民が生活水準を落とすことだ。

 現在持っている日本株は、「ハローキティ」で有名なサンリオ、大手玩具メーカーのタカラトミーなど、子供関連の銘柄が中心だ。もし日本にチェンジが訪れ、若い女性がもっと子供を産んでくれるようになれば、これらの株はどんどん上がると目している。

 ただし、今後日本にポジティブなチェンジが起きない限り、ここ2〜3年の間に日本の資産を手放す可能性が高い。

 それは、米国資産も同様だ。今の米国には魅力を感じられない。今持っているドルは、少し上がったときを狙って売ってしまいたいくらいだ。

――近い将来、日本には「チェンジ」が訪れるだろうか?

 新政権が発足した日本には、まさに「変化のチャンス」が到来している。重要なのは、変化の内容よりも、まずは「変化そのもの」を起こすことだと思う。

 ただし、財政赤字への懸念から経済政策に関する議論が紛糾し、「出口戦略」の検討も遅れているなど、見過ごせないポイントが多いことは事実だ。日本人は、政策のよいところも悪いところもよく理解しながら、「チェンジ」への意識を高めていくべきだろう。

――他にも、中長期で注目できる投資分野があれば、教えて欲しい。

 中長期で考えるなら、ずばり、コモディティ(商品)が注目だ。原油、非鉄金属、農産物などの原燃料は、世界的に需給が逼迫しており、価格が上昇傾向にある。金融危機後もファンダメンタルズが損なわれておらず、今後も堅調に推移すると見られる。

 実際、過去25〜30年間に、コモディティ市場は底値からじわじわ復活してきた。よい例が、21世紀に入って高騰し始めた原油だ。

 米国では、過去40年間も大油田が発掘されていない。英国の北海油田も、メキシコの油田地帯も同様だ。アジアでも、かつて産油国として有名だった中国、マレーシア、インドネシアなどは、今や「原油の輸入国」に変わってしまった。世界中で需給逼迫が著しい。

 一方で、世界経済の動向も、コモディティに大きな影響を与えるはずだ。

 大借金を抱える米国をはじめ、金融危機以降、先進国の中央銀行は軒並み市場に大量のカネを注入し続けている。これは早晩、本格的なインフレを招く可能性が高い。そうなれば、コモディティは過熱するだろう。

 また、アジアの信用が高まり、欧米の地盤沈下が進むなか、この先1〜2年の間に「世界的な通貨危機」が発生する可能性もある。過去の通貨危機時にそうだったように、株式市場もズルズルと下落していくだろう。

 そうなれば、コモディティ投資の魅力がいよいよ際立ってくる。

――今後は、ロジャーズ氏自身もコモディティへの投資割合を増やしていくつもりか?

 私は将来を見越して、すでにあらゆるコモディティに投資している。自分の娘にも、株や債券でなく、コモディティ投資を勉強させているところだ。

 コモディティは、今後必ず注目を浴びる市場だ。選択肢の1つとして、検討してみてもよいだろう。

(完)

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